イギリス生活

重度知的障害のイギリス人義理兄が役所と政府のインタビューを受けた話し

こんにちは。

イギリス在住のかおりです。

私はイギリス人男性と結婚して、現在イギリスで義母と重度知的障害者の義理兄と同居中です。

ナビさん(旦那)は、2人お兄さんがいます。

そして2番目の次男であるお兄さんが、重度の知的障害です。

よくどのくらいの重度なの?

と聞かれるのですが、答えにいつも困ってしまいます。

とにかく重度!

と答えたり・・・(答えになってない・笑)

一言では、説明するのが難しいです。

私は結婚する前に、障害者施設でボランティアをしていた事があるのですが、その施設にいた人たちとは比べ物にならないくらいのレベル。

そんな義理兄(次男)が、今年に入って役所と政府からインタビュー依頼が来ました。

何のためにインタビューするのかな?と思ったのですが、これは簡単に言うと働きに出れるかのチェック。

笑う所ではないのですが、話しを聞いたときに「えっ?」って思わず笑ってしまいました。

働けるレベルならとっくに働きに出してるっつーの(笑)

しかも言語障害でしゃべれないのにどーやってインタビュー受けるんだろうか?

今回インタビューを受ける事になった背景には、障害者手当をカットする計画があるからです。

実際働けるのに、障害者手当をもらって生活してる人もいるんだとか。

あとはレベルを見て金額を変えたりする事も考えてるのかもしれません。

そういうのを見直すためにインタビューの依頼が来て受ける事に。

役所のインタビューは数年に1回ありますが、政府のインタビューは今回が初めて。

義理兄の事

義母いわく、赤ちゃんの時は障害がある事に気づかなかったようです。

見た目は普通なので(現在は太ってるけど)今もだまって座ってれば知的障害だとはわからない。

動いたり声をだしたりすれば、あきらかに変なので、100%わかります。

成長とともに、歩かない、喋らないと言う事で異変に気付いたんですって。

今は言語障害で喋れませんが、歩くことは可能です。

これまた歩けるので超~やっかい。

家の中をアチコチ歩き回り食べ物を探して見つけたら食べちゃう。

二十歳前後から急に食べ物に執着するようになったとか。

それまでは、かなり痩せていて、子供の時の写真を見て驚きました。

全くの別人。

なので、食べ物は隠して保管しています。

冷蔵庫にもカギをかけたいくらい(笑)

でも全てを隠すのは無理で見つけたら食べられちゃいます。

機嫌が悪いと、物を蹴ったり叩いたりして、色々壊します。

突然、脳にスイッチが入って狂い始める感じで、全く予測できません。

先日も朝からうるさいなぁ~と思っていたのですが、ガラスが割れる音が聞こえました。

そしたら洗濯機の扉を蹴って壊してました。

扉はガラスで出来ています。

義理兄の足は全くケガなし・・・。

毎日クスリを飲んでいますが、もし飲まないと、さらに狂って大変な事になるようです。

暴れる時は、本当にひどくてDIY中でまだ完成してない壁とか蹴ったり殴ったりで破壊していきます。

物が壊れると、ナビさんが修理します。

娘を寝かしつけてる時に、発狂して暴れ始めると、本当に最悪!

もう少しで寝そう~って時に義理兄のデカイ声にビックリして、起きちゃうことが何度もありました。

部屋のドアをガンガン叩いてくることもあるので、部屋のドアは火事でも対応できるらしい超~頑丈なドアをつけています。

ナビさんがどっかから拾ってきた汚いドア(笑)

ないよりマシ。

そんな義理兄は、車と電車とカギが大好き。

あと、食べ物なら何でも。

たまにオモチャをなくすと、暴れ始めます。

部屋が汚いので、探し出すのが大変。

たいていは、その辺に転がってるんですけどね。

平日の昼間は、2人のケアスタッフが迎えに来て、家から連れ出してくれます。

1人のスタッフでは危険で対応できないので、2人スタッフがそろわないと連れ出してもらえず、キャンセルになる事が多々あります。

体調不良とか、ホリデーとか・・・。

当日急にキャンセルの電話がくるとガッカリです。

使えない会社だな~と思いますが、障害が重すぎるため、他に受け入れてくれる所がなく、選びようがない感じです。

精神年齢は、1歳半くらいの娘と同じくらいかなぁ~と感じます。

役所のインタビュー

インタビュー当日、役所の担当者の女性が1人家に来ました。

同時に普段、数時間家から連れ出してケアしてくれるケアスタッフも2人とその会社のボスが来て同席しました。

ボスは来る予定なかったのですが、役所の担当者に呼び出されたみたいです。

と言うのも、義理兄がケアスタッフに連れ出される時は、チップで管理されていて連れ出す時にスキャンします。

そうすると、役所で義理兄がスタッフと外に出ている事が分かる仕組みらしいです。

でも、最近連れ出されてない事が判明して、役所のスタッフに呼び出され一体どうなってるのか、問われることに。

結局は、スタッフが足りないとか病気で休んでて・・・とか言い訳してました。

座る場所もない汚い家に、来客が来るって事で玄関の横のレセプションとか呼んでる部屋にナビさんが無理矢理テーブルと椅子を準備してました(笑)

何を話すのか興味あって、チョット盗み聞きしました。

普段連れ出して世話をしてくれるケアスタッフもどんだけ大変かわかってるので、それを役所の担当者に話してました。

役所の担当者:「休みの日は外につれだしてるのか?」

義母:「週末は家にいて出かけない。」

役所の担当者:「それは良くないわね。ちゃんと外に連れ出してあげなきゃ。」

義母:「じゃあ、あなたが連れ出してちょうだい!(笑)」

義母の回答に笑ってしまいました。

けっこう言うじゃん、って。

私は、役所の担当者がそう言うのもわかるけど、それは普段接してないから言える事であって毎日世話をしてる義母からすると無理なお話し。

身内の行事(パーティーとかお葬式、洗礼式など)がある時は、もちろん連れて行きますが一緒にお出かけするのはかなり大変。

1歩外に出れば、人に迷惑をかける。

シャイなナビさんとは違って、義理兄は人見知りなんて全くしません。

その辺にいる人に近づいて行って、顔にキスしたり、話しかけたりします。

話しかけると言っても言葉は話せないのですが・・・。

これ、本当にかなり迷惑。

突然、知らない人がキスして来たら日本だったらドン引きだと思います。

でも、イギリス人ってあまり気にしないのか障害者に慣れてるのか、笑顔で対応してくれる人がとても多い。

でも、やっぱり迷惑だと思います・・・。

親戚に絡んでる時は、ほっときますが一般の人に絡んでる時は、やはり注意して引っ張ってでも連れ戻さなければと思います。

しかし体重が100kgあるので私が引っ張った所でびくともせず。

役所の担当者が、ケアスタッフなどについて不満や改善してほしい事など義母に聞いてました。

普段かなりナビさんには文句を言ってるくせにいざとなったら遠慮して言えなかったようであまり多くの事は言ってませんでした。

ってか目の前にケアスタッフとボスがいるし、まぁ~言えないですよね。

突然当日キャンセルになったりするのが困る事と、もっと2泊3日のホリデーに連れ出してほしい事を言ってました。

インタビューが終わり後日、役所から確認(承認?)のレターが届いたようです。

政府のインタビュー

役所のインタビューは、数年に1度ありますが、イギリス政府のインタビューは今回が初めて。

当日はナビさんが休暇をとって、義母と義理兄をインタビューの場所まで連れて行きました。

で、ナビさんもインタビューの部屋に入って聞いてきたので、私は後からその話を聞きました。

インタビューした人は女性医師だったようです。

「How are you?」

みたいな普通の会話から始まり

義理兄は「car, car, car」とかいつものように言いまくり。

義理兄とは会話が成立しなことを一瞬でわかったようで、義母との会話になったようです。

  • 義理兄を妊娠中、体調に異変はあったか?
  • 生まれた後、義理兄は何か病気をしたか?
  • 彼は湯沸かし器が熱い事をわかっているか?
  • 何を1人で出来て、何が出来ないか?
  • 言葉は理解しているか?

などいろんな質問を受けた後その女性医師は、ここまでわざわざ来させちゃってごめんなさい、と謝ったそうです。

調べるまでもないレベルだったようです。

義母は、一応役所とのインタビューの後にもらったレターを渡しました。

女性医師はそれをコピーしたいからと言って他の部屋に行きました。

で、義理兄もなぜか後にくっついていったようです。

そして、どっからかケーキをゲットして(勝手に取った)食べながら戻ってきたとか(笑)

先日、義母が入院した時も入院患者しかもらえないハズの紅茶を無料でゲットしてました。

そんな流れで、インタビューは終わり今後、政府のインタビューを受ける必要はないようです。